4 基本的構成態様と児童の絵

基本的構成態様は視覚情報をベースに生成されたものである。しかし、視覚情報そのものではないため、これをそのまま絵に描くことはできないと思う。

基本的構成態様を絵に描くとするならば、児童が描くスケッチのようなものだろう。スケッチされた対象物の面の存在は理解できるものの、全体のバランスや細部の描写は十分に反映されていない。非常に漠然としているが、対象物の有する面の存在を見て取ることはできよう。

基本的構成態様は複数の長さを許容しているため、本来、紙面に固定できるようなものではない。しかし、児童は、対象物の面の寸法比率や細部の描写などに気を配れるほどスケッチに熟練していないため、そうしたことが反映されていない絵をどんどん描いてしまえるのである。

この児童の絵は対象物の視覚的情報を十分に伝達していないが、対象物の存在は十分に伝達している。対象物の視覚的な存在とは対象物の「面の存在」である。基本的構成態様とは「面の存在」の情報により構成されているため、多くの視覚的情報を含まないものの「面の存在」の情報をしっかりと有している児童のスケッチは、その対象物の基本的構成態様を想像させることができるのである。

(2008/1/4)

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