3 視覚情報と言語情報

ギブソンは、以下のような水面等の例(1)をあげて視覚情報と言語情報との違いを指摘している。鍋に入れた水を沸騰させ続けるとそのうち水は蒸発してなくなってしまう。これを物理的に説明すると、水は消滅したのではなく蒸発して水蒸気になり、そして、空気中に拡散してしまったことになる。そして、この物理的な説明は、言語情報による論理的なものの捉え方である。

しかし、ギブソンは、人間が知覚するレベルでは水が消滅したことこそが重要である指摘している。即ち、視覚を基準にしてこの現象を説明すると水面という光を反射する「面」が消滅したということになる。視覚により把握される世界が、言語情報による論理的世界とは異なる成り立ちを持つことを想像してみよう。

(1) J.J.ギブソン著/古崎敬・古崎愛子・辻敬一郎・村瀬旻共訳「ギブソン生態学的視覚論」(サイエンス社、1985年)109頁

(2008/1/4)

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