1 部分意匠の範囲

部分意匠の範囲とは、実線部分の領域をいう。具体例として、図1及び図2があげられる(尚、何れも部分未完結型(特徴型)に分類される)。

図1(USP.345001)

このピストルの例では、全体の形態が同一であるにもかかわらず、図1では銃口部分周囲に限定された狭い領域を実線部分とし、図2では銃の前方約2分の1程度の広い領域が実線部分となっている。

図2(USP.345194)

このような部分意匠の範囲の相違は以下のような2つの意味を有する。即ち、第1に、部分意匠の範囲が広がるほど、実線部分の形態要素が増大するため、実線部分の形態の類似範囲は狭くなってゆく傾向がある。また第2に、部分意匠の範囲が広がるほど、物品全体に対する部分意匠の寄与率が上昇する傾向がある。

この意味を意匠権侵害訴訟において考えてみると、第1の点に関しては、部分意匠の範囲が広いものほど侵害成立の可能性が減少するということになり、また、第2の点に関しては、部分意匠の範囲が広いものほど寄与率の上昇による損害賠償額の上昇が期待できるということになろう。

(2006/2/13)


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