3 破線部分との関連性の判断(第2段階)

この段階では、破線部分の意味合いを明らかにするため、(1)部分意匠の分類認定、(2)揺動範囲の認定、(3)共通性の判断を行う。これらの認定等は、部分意匠の実線部分の形態が他の形態を有する同一又は類似物品に適用可能であるかを判断するためのものである。

この破線部分との関連性の判断においては、従来の同一及び類似概念を用いてはならない。この従来の同一及び類似概念は、比較される両意匠の関係を、同一、類似、そして、非類似の三者択一的に分けて把握する。

さらに、この従来の同一及び類似概念は、物品と形態という要素を夫々把握する場合にも適用され、両意匠の同一とは、物品及び形態が共に同一であることをいい、両意匠の類似とは、物品同一且つ形態類似、物品類似且つ形態同一、物品類似且つ形態類似をいい、両意匠の非類似とは、物品非類似且つ形態非類似の場合をいうとされている。

このような同一及び類似概念が物品と形態という要素に用いられたきた理由は、物品と形態のみが意匠の必須の構成要素だからである。従って、物品と形態の同一類似の判断は、比較の対象となっている両意匠の同一や類似という結論に連結することができた。

しかし、部分意匠の意匠権の権利範囲は、本来的に実線部分に求めなければならないのであり、必須の形態要素とはいえない破線部分に対して従来の同一及び類似概念を持ち込むことは許されない。さらに、破線は揺動しており、従来の意匠の特定作業が不可能である以上、破線部分から類似範囲を認定することは事実上不可能である。

このため、破線部分との関連性との判断では、類否判断ではなく後述する「共通性の有無」が問われることになる。

(2006/2/13)


home

inserted by FC2 system